働きながら障害年金を受給できる場合

文責:社会保険労務士 大原啓介

最終更新日:2023年02月28日

1 働きながら障害年金を受給するための条件

 障害年金の審査では、障害によって、働く能力がどの程度制限されているかや日常生活にどの程度の不自由があるかを重視されます。

 そのため、働いている人が障害年金を請求する場合には、どのような環境の職場でどのような内容の仕事をしているか、会社にどのような配慮をしてもらっているかや、帰宅後や休日の体調なども事細かに主治医に伝え、診断書に反映してもらうことが必要となります。

2 働きながら障害年金を受給できる場合と注意点

 障害年金の認定基準によると、障害厚生年金3級は、「労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とされているため、正社員として働いているような場合には、新規裁定請求時に3級に認定されなかったり、更新の際に3級に該当しないとして支給を停止されてしまったりすることがあります。

 また、障害厚生年金2級に認定されていながらも就労している場合は、更新の際に、障害の状態が2級よりも軽いと判断され、等級が下げられてしまったり、支給を停止されてしまったりする可能性があります。

 そのため、障害者枠で雇用されている、会社に特別な配慮をしてもらっている、働いているが実際には様々なトラブルがある等の事情があれば、診断書にその旨を記載してもらう必要があります。

3 会社への申告について

 障害年金の受給が決まっても、会社に報告する義務はありません。

 ただし、障害年金の受給中に病気やケガで会社を休まなければならなくなった場合、会社を通じて「傷病手当金」の支給を健康保険に申請することがあります。

 傷病手当金は、病気やケガで働けなくなった場合に給料の3分の2にあたる金額が1年6か月を限度に支給される制度で、同じ病気やケガで障害年金を受給している場合には、原則として障害年金が優先的に支給され、傷病手当金の金額が障害年金の金額よりも多い場合には、その差額分の傷病手当金が支給されることになっています。

 そのため、障害年金の受給中に「傷病手当金」を申請する場合、申請書に障害年金を受給していることを記載しなければならず、会社に障害年金を受給していることを知られることになります。

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