脳梗塞で障害年金が受け取れる場合

文責:社会保険労務士 大原啓介

最終更新日:2023年02月14日

1 脳梗塞について

 脳梗塞とは、脳虚血(※ 脳の血流量が低下している状態)が持続し、脳実質(※ 大脳、小脳、脳幹等)が壊死(※ 生体の一部の組織・細胞が死ぬこと)に陥った状態をいいます。

 中高年者以降に多く見られ、40歳以上では10万人中600人前後がり患していると推定されます。

 危険因子とされているのは、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、心房細動、喫煙、過剰飲酒、睡眠時無呼吸症候群、先天性血栓性素因などです。
 特に危険なのは高血圧とされており、他の因子もあるような方は注意が必要です。

 脳梗塞による症状は、壊死の起きている部位によって異なりますが、片麻痺・運動麻痺、感覚障害、失語症、視野障害などが挙げられます。

 重篤になれば死亡することがあります。

 脳梗塞は不可逆的変化であり、一度発症すると発症前の状態にまで回復することは望めません。

 治療は、血流障害が生じていても脳梗塞には至っていない他の脳組織の血行改善を図ることを目的に行われます。

2 障害年金との関係

 脳梗塞によって生じる身体症状(具体的には次のとおり)に応じて、認定される障害年金は異なります。

 ア 視野障害によって、両眼による視野が2分の1以上欠損したものについては、障害手当金の対象となります。

 イ 片方の腕や足が麻痺によって全く動かなくなった場合は、障害年金2級に該当します。

 ウ 親指と人差し指を含め4本の手指が動かなくなった場合は、障害年金3級に該当します。
   足指については、10本すべてが動かなくなった場合について、障害年金3級に該当します。

 エ 体幹の機能に麻痺が生じて、自力で立ち上がることができなくなった場合は、障害年金1級に該当します。

 オ 脳梗塞では、上肢・下肢も含めて障害が広範囲に及ぶこともあり、そのような場合は、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能が総合的に認定され、程度に応じて1級から3級が認定されることになります。

 身体症状が残らなくても、脳機能、具体的には意思疎通能力、問題解決能力、思考能力、社会行動能力に障害が残ることがあり、程度に応じて1級から3級が認定されます。

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