障害年金と老齢年金のどちらが得なのかについて

文責:社会保険労務士 大原啓介

最終更新日:2023年02月27日

1 障害年金について

 障害年金は、一定の障害の状態になった時にもらえる年金です。

 障害によって働く能力を失ったために低下する収入を補う所得補償の意味を持ち、高齢でなくても受給できるのが特徴です。

 労災保険の障害(補償)年金(第1級から第7級)は、業務や通勤が原因である場合に支給されます。

 一方、障害年金は、業務や通勤を原因としているか否かは問わず、先天性の疾患でも対象となります。

 障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金があり、障害の原因となった病気やケガで最初に医療機関の診察を受けた日(初診日)に、国民年金の加入者だった場合に支給されるのが障害基礎年金で、初診日に厚生年金の加入者だった場合に支給されるのが障害厚生年金です。

 障害基礎年金には、障害の程度が重い方から1級と2級の等級があります。

 障害厚生年金は1級と2級に加え、より障害の程度が軽い3級でも支給される他、1級と2級の場合には障害基礎年金も支給されます。

2 老齢年金について

 老齢年金には、老齢基礎年金と老齢厚生年金があります。

 老齢基礎年金は、受給資格期間(国民年金保険料を納めた期間等)が10年以上ある場合に、65歳から受給できるものです。

 老齢厚生年金は、過去に会社員や公務員等であった人が、老齢基礎年金に加えて受給することができます。

 老齢厚生年金も65歳から受給できますが、60歳から64歳までの一定の年齢に達した場合に、特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。

3 障害年金と老齢年金はどちらの方が得なのか

 高齢で障害を抱えている方の中には、障害年金の認定基準を満たしているが、障害年金と老齢年金のどちらを受給すべきか悩んでいるという方もいらっしゃるかと思います。

 老齢基礎年金は、20歳から60歳までの加入期間中にどのくらい保険料を納付したかで受給額が異なり、老齢厚生年金は、厚生年金に加入していた期間や支払った保険料の額によって、受け取れる金額が異なります。

 一方、2級の障害基礎年金の金額は、保険料を納付した期間にかかわらず、老齢基礎年金の満額と同額です。

 1級の障害基礎年金の金額は、その1.25倍です。

 さらに障害基礎年金は、一定の条件を満たす子どもがいる場合、人数に応じて加算されます。

 そのため、老齢基礎年金よりも障害基礎年金の方が支給額が多くなるケースが多いようです。

 一方、障害厚生年金と老齢厚生年金はどちらも複雑な計算式で算出されるので、どちらが得なのかについては、年金事務所で金額を出してもらわなければ比較することは困難です。

 また、障害年金は非課税であるのに対して、老齢年金は課税対象となる点にも気を付けなければいけません。

4 障害年金と老齢年金の組み合わせ

 老齢年金を受給できる年齢になっても、障害年金の受給権は喪失しませんが、両方を同時に受給することは基本的にできません。
 いずれも国による生活保障的な意味合いを持つため、同時に受給するのは過剰となるためです。

 65歳までは、障害基礎年金(+障害厚生年金)か、特別支給の老齢厚生年金(3級以上の障害の状態にある時は、特例で金額が増加します)のいずれかを選択して受給しなければなりません。
 なお、老齢年金をくり上げて受給すると、65歳に達したとみなされ、障害年金を新たに請求することができなくなります。

 65歳以降は、障害基礎年金+障害厚生年金、老齢基礎年金+老齢厚生年金に加え、障害基礎年金+老齢厚生年金の組み合わせも可能となるため、支給額の大きい方を選択することが可能となります。
 他方、老齢基礎年金と障害厚生年金の組み合わせは認められていません。

 どの組み合わせが最も受給額が大きくなるのかについては、年金事務所等に行って確かめてみるとよいかと思います。

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